東海道七福神めぐり

旧東海道の北品川から大森にかけてポイントされている「東海七福神」をめぐった。距離は5キロほど、歩いて1時間。と聞いて油断してたら、4時間くらいかかってしまった。ぼくが道に迷ったためなのだが、おかげでいろんな発見があって、旅気分を味わえた。たのしく歩いてご利益もいただきたい。

今回のルート

パンフレットなどに載っている東海七福神めぐりの正しいルート。この通りに行けば1時間ほどで行ける距離だ。なお、ぼくが道に迷って4時間かかったのは、ナビアプリ「MapFan+」のせいではない。好奇心のせいだ。ちなみに、MapFanのルート検索は7箇所まで地点を設定できる(スタート・ゴール・立寄地5点)。なので七福神巡りにぴったり。

東海七福神めぐりルートマップ

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七福神めぐりってたくさんあるんですね

七福神基本メンバー

七福神基本メンバー

七福神めぐりとは、恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、布袋尊、寿老人、福禄寿が祀られている神社またはお寺を巡拝して福徳を祈るもので、ゲームではない。七福神は前述の七神が基本だが、時期や地域によって達磨、福助、猩猩などとメンバー交代がされているケースもある。前の試合でレッドカードが出たとか、半月板を損傷したといった理由があったのかもしれない。七福神めぐりのコースは都内だけでも30以上ある。ということは、少なくとも7×30=210福神ある。全国ではもっとある。

今回めぐってきたのは、旧東海道の北品川から大森にかけての「東海七福神」。このコースを選んだのは、MapFan編集部からもっとも近いところにあったからだ。いつも通りすぎている駅で、ふいに降りてみる。そして、視点を変える。すると、いつでも・どこでも旅心地になれる。そんな「へも紀行」をレポートする。

北品川からスタート

品川の南にあるのに、北品川。

品川の南にあるのに、北品川。

スタートは、京浜急行の「北品川」近くの品川神社。徒歩数分で行ける。 ところで「北品川」という駅名。JRや京浜急行の品川駅より南にあるのに、なぜ「北」なのだろう。調べたところ、品川区の北部にあるから北品川なのだそうだ。もともとは北品川は品川という駅名だったのだが、高輪駅までの線が開業した頃(1925年)に北品川駅に改名、そのあと高輪駅が廃止(1933年)され、品川駅に乗り入れがされて、いまのかたちになった。ちなみにいまの品川駅の所在地は港区であって、品川区ではない。ややこしいので、これ以上深入りはしない。

迷いながら品川神社(大黒天)へ。

どこなんだろうここは。

どこなんだろうここは。

品川神社の大黒天。

品川神社の大黒天。

品川神社へ向かうために北品川で降りたが、実は新馬場北口から徒歩1分で行けるらしい。いまとなっては、なぜ北品川で降りたのかわからないが、間違って降りてしまったのだから仕方ない。歩く。迷う。品川神社の近くまで来たのに入り口がわからず、神社の周りをぐるりと回って30分もかかったところで、七福神のひとつ大黒天の像が見えた。品川神社だ。

迷ったうえに、参拝期間じゃなかった。

品川神社

品川神社

途方に暮れて富士塚から眺める品川の街

途方に暮れて富士塚から眺める品川の街

さっそく社務所へ行き、七福神めぐりをしたい旨を伝えると、行事はお正月(元旦から1月15日まで)だけと言われて愕然とする。そう、七福神めぐりはお正月限定だったのだ。いつでもできると思ったら大間違い。七福神宝舟や色紙を買って、七福神めぐりをする計画が早々に崩れた。
肩を落として虚ろな目つきになったぼくが気の毒に映ったのか、期間中でなくても七福神の社寺のお参りはできますよと励ましをいただいた。宝船や色紙はあきらめ、七福神の写真を集めることにする。

養願寺(布袋尊)を目指す。

この立看板が目印。細い道へ入る。

この立看板が目印。細い道へ入る。

風情のある住宅街の間を自分を信じて歩く。

風情のある住宅街の間を自分を信じて歩く。

次に向かうのは布袋尊が祀られている養願寺(ようがんじ)だ。品川神社から歩いて約5分。
品川神社の石段を下りた向かいの横断歩道を渡り、北馬場参道通へ。道路左側に「虚空蔵菩薩霊場」という看板が見えたら路地へ入る。看板には「養願寺」とは書いていないので注意。「タモリ」と書かずに「新宿アルタ」と書いてあるような感じか。いや、全然違う。風情のある住宅街の間を歩く。

いつでも会えるわけじゃない。

養願寺

養願寺

一心寺

一心寺

突然、養願寺が現れる。突然すぎて素通りしてしまうほどだった。さっそく布袋尊を探す。が、見つからない。品川神社にあったような大きな石像が置いてあるものだと思っていたが、ない。いくら探してもない。あきらめて、参拝して一心寺(いっしんじ)へ。
一心寺は養願寺から約50メートル、全力で走れば10秒ほどだが走る必要はない。すぐに着く。寿老人が祀られているはずだが、こちらも見つからない。寺を出る。うすうす感じてはいたが、やはり、お正月でないと福神様には会えないのだ。自分が何めぐりをしているのか、わからなくなってきた。

荏原神社に恵比寿さんがいた。

鎮守橋と荏原神社

鎮守橋と荏原神社

荏原神社で恵比寿さんを発見

荏原神社で恵比寿さんを発見

七福神がみつからないと、福との距離が露骨に遠ざかっていくようでへこむ。一心寺から5分ほど歩くと、目黒川に突き当たる。荏原神社(えばらじんじゃ)だ。朱塗りの鎮守橋から神社を眺めると、緑とのコントラストが美しい。福神様にはもう会えないかと思っていたら、恵比寿さんを発見。品川神社の大黒天とサイズや作風が似ているので、同じシリーズなのかもしれない。会えないと思ったら会える、会えると思ったら会えない。行ってみるまでわからない、それが参観期間外の七福神めぐりなのだ。

江戸の歴史を感じる商店街と品川寺。

旧東海道の商店街。このあたりに問屋場があったらしい。

旧東海道の商店街。このあたりに問屋場があったらしい。

品川寺。左の像が銅造地蔵菩薩坐像。

品川寺。左の像が銅造地蔵菩薩坐像。

旧東海道を歩いて行く。駅でいうと青物横丁のあたり。品川は東海道の最初の第一宿というだけあり、宿の事務を行なっていた問屋場(といやば)や、幕府が荷物の検査などをしていた貫目改所(かんめあらためしょ)などの跡があり歴史を感じる。また魚がおいしそうな料理屋が多く、思わず立ち寄りたくなる。
一心寺から約15分、品川寺に着く。「品川寺」と書いて「ほんせんじ」と読む。まず目に入るのは巨大なお地蔵様「銅造地蔵菩薩坐像」。江戸六地蔵のひとつだ。七福神をめぐっていたら六地蔵にあたる。ここから六地蔵めぐりに切替えることも考えたが、またの機会にしたい。

なぜかここで布袋尊を発見。

地図には「毘沙門天」の文字

地図には「毘沙門天」の文字

養願寺にいるはずの布袋尊を発見。

養願寺にいるはずの布袋尊を発見。

品川寺の看板と、しながわ観光協会の資料によると、ここに毘沙門天がいるはず。しかし、見つからない。その代わりと言っては失礼だが、布袋尊を発見した。資料によると、布袋尊は先ほど訪れた養願寺にいるはず。混乱。これまでの像とくらべて、布袋尊が非常に小さいのも気になる。
ちなみに、品川寺の梵鐘は幕末に海外へ流出し、大正になってスイスのジュネーブで見つかり返還されたという歴史がある。平成3年には品川寺からジュネーブに新しい梵鐘が贈られ、品川区とジュネーヴ市は友好都市になった。そんなアクロバティックな歴史的ドラマを前にすると、毘沙門天が布袋尊になっていても大きな問題ではないような気がしてきた。

【帰って来てからメモ】
品川寺には、東海七福神とは別に、「金生(かのう)七福神」という品川寺内だけでできる七福神めぐりがあるそうだ。ぼくが見つけた小さい布袋尊は、金生七福神のひとつだったのだ。東海七福神の毘沙門天は、いつでも拝観が可能ということだった。きちんと探せば見つかる!

天祖・諏訪神社。なつかしきボラちゃんフィーバー。

天祖諏訪神社

天祖諏訪神社

立会川の坂本龍馬像

立会川の坂本龍馬像

品川寺から20分ほど歩く。立会川のすぐ近く、天祖・諏訪神社。福禄寿は見つけられなかったが、駅前の商店街で坂本龍馬像を見つけたのでよしとしたい。黒船来航の時期、立会川の河口付近に土佐藩の下屋敷があり、19歳の龍馬がその警備をしていたそうだ。まさかここで龍馬像を見るとは思わなかった。
そして、立会川といえば「ボラちゃんフィーバー」を忘れてはいけない。2003年、トンネル内に湧き出る地下水の処理を持て余していたJRが、立会川に地下水を送水したことで水質が改善、ボラが大量発生して見物人が押し寄せた。ボラのTシャツや、民謡界のフーミンこと大塚文雄氏による「ボラちゃん音頭」まで発売された。いまは、その名残りもない。

【帰って来てからメモ】
天祖・諏方神社の福禄寿像は拝殿に奉安されており、日中は拝殿前(賽銭箱あたり)から拝観することができる!きちんと探せば見つかる!

鈴ヶ森刑場跡。ゴール、磐井神社。

磐井神社

磐井神社

磐井の井戸(暗くてよく見えなくてすみません)

磐井の井戸(暗くてよく見えなくてすみません)

天祖・諏訪神社から、引き続き旧東海道を歩く。途中、鈴ヶ森刑場跡。八百屋お七の処刑に使われた火炙台などがある。八百屋お七とは、大火で自宅が焼けて寺で避難していた時に恋仲になった男子と、もう一度会うために自宅を燃やしたという女子。人間、恋に落ちると何をしでかすかわかったもんじゃない。刑場の写真を載せようとしたが、PCがフリーズして恐ろしくなったのでやめる。
そして、最終目的地の磐井神社。弁財天は見つけられず。探し方がわるいのかもしれないが、ここまでくると、もうどちらでもよくなってきている。神社の向かいにある「磐井の井戸」は、心正しければ清水、心邪ならば塩水という伝説がある。海が近いので潮の関係で塩水になったりしたのではという説もある。だとしたら、塩からい時期に当たった心の清い人はかわいそうだと思う。

三福神しか見つからなかったが、観光気分を味わえた。

大森海岸駅から帰る

大森海岸駅から帰る

七福神のうち、実際に見ることができたのは、三福神(大黒天、恵比寿、布袋尊)だけだった。しかし、本企画のテーマである「近場で観光気分を味わう」は、うっすら達成できたのではないかと思う。
いつも通りすぎている駅で降り、知らない街を歩く。建物や像や看板で知的好奇心を満たす。江戸前穴子の天丼や、温泉(北品川温泉というのがあるらしい)があって、経費で行けたら最高だった。

あくまでも、ぼくにとっての近場だったが観光はできる。観光客の気分になって、近所を旅してみてほしい。きっと新鮮な気持ちになれる、はず。

※記事内の情報(営業時間や金額等)は公開当時のものです。実態と異なる場合がありますので、ご注意ください。