「カレーライス」
750円
一見、豚肉と玉ねぎだけのシンプルなカレーに見えるが、実は人参やにんにくなどの野菜がたっぷり入っているというオリジナルのカレー。
最新の情報が集まり、日々新しいモノがつくりだされる街、東京。
しかしながらこの街にも、まるで時が止まったかのように、“昭和”を残す店があります。
時代が変わりゆく中、昔ながらの情緒溢れる建物で、いまなお営んでいる店たち。
そこには、時代とともに少しずつ変化してきたからこそ、残されてきた“昭和の姿”がありました。
ノスタルジーに浸りながら、あの“昭和の時代”を、ちょっと覗いてみませんか?

「カレーライス」
750円
一見、豚肉と玉ねぎだけのシンプルなカレーに見えるが、実は人参やにんにくなどの野菜がたっぷり入っているというオリジナルのカレー。
東大に馴染み深い喫茶
東大正門前でふと足を留めたのは、ヨーロッパ調の装飾が施された石造りの建物。昭和3年に建築されたというそのレトロな佇まいは、まるで時間が止まっているかのよう。
そう、ここが、当時から東大の教授たちが集う“喫茶サロン”として親しまれてきた『万定フルーツパーラー』だ。
“残し続ける”ということ
『万定フルーツパーラー』といえば、看板メニューである「カレー」が有名だが、なぜ“フルーツパーラー”なのか。
もともとは1代目が果物屋を営み、東大病院に見舞いに訪れる人のために隣で果物を売っていたそう。当時、コーヒー変わりにフルーツを喫茶で食べるという“フルーツパーラー”が流行。これを機にこの喫茶店は始まった。
当時のハイカラぶりは、50年以上の時を経た今でもそのまま残る。1代目が気に入って購入したというアメリカ製のレジスターは、家1軒が建つ程の値打ちがしたのだとか。
本来ならば、博物館で展示されるような貴重なものが、ここでは当たり前のように日常的に使われている。他にも、手が届かない位大きなコーヒーメーカーに、昔ながらの扇風機など、昭和の時間がそのまま流れているのだ。
現在、この店を務めるのは、亡き2代目の奥さん。
この歴史ある建物やここにある物を残し続けることは、大変なことだっただろう。
しかし、奥さんは笑いながらこう話す。
「戦後のもったいない精神っていうのかしらね。まだ使えるから、使っているだけなんですよ」
ものを大切に使うこと。昭和の時代の教えが、知らず知らずのうちに、この店を守り続けてきたというのだ。
守るべきものと変わるべきもの
「今の若い人達は、みんな目がキラキラしていて、とてもステキだと思うわ」奥さんは現代の若者たちについてそう語る。
何十年もの間、この店で東大生たちと共に時間を過ごしてきた奥さんは、時代とともに守るべきものと変わるべきものがあることを知っていたのだと思う。だからこそ、この場所は、昭和の貧しく厳しい時代から物が溢れる時代へと移り変わっても、ずっとずっと愛され続けてきたのだろう。