雨にぬれた花姿が美しい「あじさい」。
共に歳月を重ねるふたりが愛でるのにぴったりな、清楚で味わい深い花です。
今回、あじさい博士におすすめのスポットや自慢したくなる豆知識を教わりました。
しっとりと楽しむ、大人の『あじさいデート』へ出かけましょう。



なぜだか、雨の日の出来事のほうがよく覚えている、ということがある。楽しみにしていたイベントで降りだしたことや、びしょぬれになったこと。よくも悪くも記憶に残って、特別な思い出になりやすいのかもしれない。 そんな雨の日の思い出に、寄り添うように存在するのが「あじさい」だ。梅雨の時期が花ざかりのこの花は、例えば学校の片隅に、近所の庭先に、暗くなりがちな気分をなぐさめるように、雨の中でも凛と咲いていた。 だからこそあじさいは、一緒に月日を重ねてきた二人によく似合う。苦楽をともにし、過去と未来を共有する者同士があじさいを眺めるひととき。きっとまたひとつ、忘れられない雨の日の思い出が生まれるはず。
あじさいの有名な話として、シーボルトの恋物語がある。「以前のあじさいの学名である“オタクサ”は、ドイツ人医師のシーボルトが、日本滞在中の妻であったお滝さんの名からつけたと言われます」と教えてくれたのは、あじさい博士こと、「日本アジサイ協会」の杉本誉晃さん。 また、意外に知られていないのが、あじさいは日本原産の花だということ。博士によると、「ガクアジサイ、ヤマアジサイ、エゾアジサイという元々日本にあった代表的な3品種が海外に渡り、ヨーロッパを中心に品種改良がさかんに行われた」という。人気の高い「西洋アジサイ」は、そうして海外で生まれた代表的な品種なのだそう。
次々と新しい品種が誕生しているあじさい。現在農林水産省に品種登録申請中の「八丈千鳥」(写真:右上)は、八丈島で育成されたもの。あじさいのイメージが変わるような、特徴的な花びらの形だ。
あじさいの中には、品種の発見者や育成者の名前、またはその奥さんや娘(「ミセスクミコ」「レディミズキ(写真:右下)」など)の名前が付けられているものも。名前に注目するのもおもしろい!
実は、土によって色を変えるというあじさい。酸性は青色、中性は赤紫色、弱アルカリ性は赤色やピンク色になる。アルカリ性が強くなりph7.5を超えると、弱って枯れてしまったり、育たなかったりするという。また、日本に青色のあじさいが多いのは、土壌のほとんどが酸性だからなのだとか。

